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Sai判長 1巻  21  予感 (5)


 次の日、サイラスは寝ているティキーの様子を確かめると、彼を起こさずに仕事に出た。彼は良い顔で眠っていた。もう熱も下がったようだ。このまま少し休めば明日は大丈夫かもしれない。任務とティキーの気持ちの狭間で、サイラスも苦しかった。着実にという思いは強かったが、ティキーがああまで言い切る不安というのも気になる。迷ったあげく、サイラスはティキーの気持ちを汲むことにしたのだ。今日は遅くても五時頃には帰れる。話はそれからだ。

 ただ、ティキーの体調の事は報告しておかなければならない。早朝に悪いと思ったが、サイラスはベルのひもを引いた。意外にもドアはすぐに開き、片手に本を持ったブギーが顔を覗かせた。  「どうした?」
 ひげまでそってある所を見ると、彼はかなり早起きらしい。サイラスは昨日のティキーの様子を彼に伝え、ナナカに伝言を頼んだ。


 ティキーは昼近くまで寝ていて慌てて飛び起きて来たが、見ると、テーブルの上にサイラスからの伝言。
『僕が帰るまで家で待ってて』
 帰るまで、ってことは、今日は家に、ってことだよね…
 ティキーは涙ぐんだ。サイラスは解ってくれたんだ。しっかりと食事をとり少しばかり体操までして、ティキーは全身の力を抜いてソファーにもたれた。
“リゲル、待っててね。明日はきっと…”
 緊張続きだった気持ちの方も、すうっとほぐれていくようだった。

 帰って来たサイラスは出迎えたティキーを見てほっとした。どうやら休めたらしい。顔色も良いし、表情も柔らかい。これなら何とかなるかもしれない。彼はティキーに明日実行する意志があることを確かめると、 「前の日は余計な事を考えずにリラックスしていた方がいい」 というブギーの助言を伝え、計画を一通りさらって早めに休むことにした。
 計画通り実行との連絡を入れた時間が中央庁の夕食時だったため、挨拶は明日、ロルカナを送り出す時にとナナカが言っていたらしい。噂のロルカナとの対面も楽しみだったが、サイラスはナナカの激励を受けて任務に出るのだから頑張らなければと思った。


 当日の朝が来た。ティキーは昨夜緊張で眠れなかったような気がしたが、朝すっきり目覚めたということはきちんと眠れていたようだ。かえってサイラスの方が眠たげな目で起きて来て濃いコーヒーを飲んでいた。彼らは早めに身支度を済ませると、再斉に至るまでの手順を確認しナナカに連絡を入れた。午後には予定通りロルカナが応援に来てくれるらしい。ただ、彼女が暇を持て余して余計な所をうろつくといけないので、打ち合わせの時間よりも三十分遅い時間に彼女を送り出すとのことだった。彼らはほっとして彼女の来る午後を待った。

 午後早々、まだサイラスとティキーが昼食を食べている間にナナカから連絡が入った。ティキーがPモールを取ると、彼女は言いにくそうに告げた。
「あのね、ティキー。申し訳ないのだけれど、ロルカナがそちらに行く時間を、もう三十分くらい遅らせてほしいの。確かまだ、かなり余裕があったはずよね」
「え? う…ん、まあ、大丈夫だと思うけど。どうかしたの?」
「それがね、あの子結局待てなくて、すぐ帰って来るからってテラッタに出てしまったのよ。私、止めたのだけれど間に合わなくて。ロルカナも確かにすぐ帰って来ようとしたらしいのよ。でも、帰ろうとしたらドアのある壁の前に大きな荷物が置かれていたらしくて、今まで待っていたのだけれど まだどかされずにドアが開けられないって、今連絡が入ったの。もし間に合わなければ他の誰かに行ってもらえるように手配するから、とりあえずはもう三十分延ばしてもらうということで、いいかしら」
「解った。じゃ、とにかく待ってるよ」


# by kobane99gi | 2012-05-18 09:40 | Sai判長 1巻 | Trackback | Comments(0)

つらつらと


つらつらと、色々な事を考える。

余裕がなくて、ヤケを起こして
みんなに 要らぬ心配かけたかな。

私自身は弱いけど
私の信じる神様は強いから
かなり辛くても
私は元気でいられるのだけれど。

心配してくれる人も、いるんだな。
ごめんね。


でも、生まれつきの癇癪持ちは
治りそうもない。
できるだけそれが出て来ないように
どうにか工夫をしないと…
             これ、今後の課題。



今更のように思う。
私は 『人間の生活を知らない』 のだな、と。

どういう訳だか人はみんな
生まれつき どう生活していけばいいのかを知っていて、
どこに行っても自分として
自分の生活を保っていける。
何の疑問もなく。
旅番組などを見ても、必ず
それぞれの土地に根付いた営みがあって、
みんなそれに従って 着実に生きている。

昔から続いてきた農家とか、漁師の家とか、
そんな所に生まれてきたら、
もしかしたら 自分の生活 獲得できていたかな。
実際の暮らしの中で、自信を持って教えられて。

 …なんて考えてみたりもするけど、
それだと、今の私はいないのだ。それに、
仮にそうだったとしても 私が本当に獲得できるかどうかは怪しいし、
身を削るように働いて育ててくれた私の両親に
それ以上のものを要求したくもない。
彼らはその時々にできるだけのことを
精一杯してくれたのだ。

自分のことも ある程度知っている。
でも、今の自分には肯定できる部分もあって、
私はそれが好きだ。
その自分で、できることをしていこうと今は思っているし、
それが目標にもなっている。
“守るものや目標があれば、人は少しだけ強くなれる”
と いうことで、今は少しだけ強いかもしれない。
自分の動ける範囲に留まりはするけれど。


ブログ始めて、本当に良かったと思う。
色々な人の考えも聞けるし、物を知ることもできる。
誰かの頑張りに勇気をもらったり、
誰かの幸せに癒されたりも。
私は単純だから、人の幸せを見るだけでも
随分満足できてしまったりする。
そういった記事が見られるという面でも、
つくづく良かったなと思う。

だから、自分勝手な欲を言えば
訪問先ブログの方々には
いつも幸せで、元気でいてもらいたいな。と。
でも、いくら何でもそれは無理だから
そうでない時は
画面のこちらで一緒になって
考えたり 悩んだり 悲しんだりしたいと思う。
みんなの幸せを祈りながら。

醒めなくてもいい夢も、あるよね。


淡々と、続けていこうと思う。時々は、また荒れると思うけれど。
まあ、泥を吐き出しながらでも成長していけたらよしとしよう。ウン。

とりとめもなく、つらつらと…
                まあ、今日はこのへんで。



 

















・そう、お知らせ欄の編集に不具合があって(パソコンのせい?)
          行間を空けられないのです。見づらくてごめんなさい。

# by kobane99gi | 2012-05-17 13:00 | つぶやき | Trackback | Comments(0)

緑の季節


緑のきれいな季節になりました。
壁紙にしたいようなデザインを
いくつも見つけました。

























































 飛んで行く鳥のような種とか




















 ひっそりとした 木陰の



















 落し物とか




















 小さな世界とか。

 見どころたくさん。楽しい時間を過ごしました。


# by kobane99gi | 2012-05-16 09:40 | お仲間訪ねて | Trackback | Comments(0)

Children


わかってはいても
どうにもならないことがある
縁日のヨーヨーも
落とせば割れる
叫び出したい思いに つい
心 投げ捨てて
大切なものが
壊れることも

初めから わかってるはずだけど
止められなくて
いつまでも子供のまま
ブランコ漕いでる
そんな自分が許せなくて
水溜りにサンダル投げて
裸足で 膝を抱えている

でも
きっと誰の中にも
子供の自分がいて
時々 なだめるのに
苦労したりするんだよね
どのみち なだめきれない
子供の自分を
内にも外にも持っているのなら


子供のフレッシュさ 前に出して行こう
喜怒哀楽フルに使って
のびのびと行こう
慣習なんてすっ飛ばして
前向いて行こう
本当に大切なものが
見えているのなら

諦めも 絶望も
状況が変わるまでのワンステップ
大丈夫 また 次がある
 自分が 自分を 保っているなら

ピュアな心を
保っているのなら

# by kobane99gi | 2012-05-15 11:39 | silent songs | Trackback | Comments(0)

Sai判長 1巻  21  予感 (4)


 そんな昼間の出来事を、ティキーは知らなかった。彼はいつも通りリゲルが仕事を終える頃に合わせて家を出ると、店を出たリゲルの後を遠目に追った。いつもは方々に立ち寄りながらゆっくりと歩を進める彼が、今日は急ぎ足で真っ直ぐにどこかを目指している。彼は駅の南口へと回ると銀行のキャッシュコーナーに入って行き、そこを出て北口の古本屋へと向かった。彼がよく姿をくらましていた、あの店だ。ティキーは店の外から耳を澄ませたが、電車の音や雑踏が気になりよく聞き取れない。リゲルが店を出るのと入れ違いにティキーは店に入って行った。

「ねえ、今の人何か言ってたみたいだけど、何頼まれたの?」
「ああ、レコードの注文だよ。古い限定版探してくれって。長くかかってもいいから、見つかったらここに送ってくれだとさ」
 店の男がちらりと見せた住所をティキーは知っていた。地図で何度も見た、リゲルの勤める靴屋のものだ。
「ふうん。ここ、そんな事までやってるんだ」
「いや、ここまでは初めてだよ。でも、これならひどくめずらしい物じゃないし、前払いでたっぷり払われてしまったからね、これはもうやるしかないでしょう」
 店員は楽しげだった。どうやら探す仕事が好きらしい。ティキーは適当な本を買い店を出た。

 自分の分なら、わざわざ送ってもらうこともない。いつものように店に寄った時に声をかけてもらえばいいだけだ。ティキーはサイラスにその話をしてみたが、彼は何とも思わないようだった。
「店の方に送るんだったら、店の人に頼まれたんじゃない? 店で流すためにとか」
「そうかなあ」
「こだわる人はこだわるからね。サムだってああみえて、店でかける音楽は厳選してるんだ」
「ふうん…」

 そんなものなのかと思ったティキーだったが、リゲルはその日からやはり元気がなかった。火曜日が来ても、彼はいつも通りの電車で出かけはしたが、ティキーが駅前で時間をつぶしている間に、いつの間にか帰って来て道を歩いている。今発った電車で帰って来たというのはどう考えても半端な時間で、彼は経理講座に行かなかったのか、或いは早退して来たかのどちらかだろう。今までの彼からは考えられない行動に、ティキーは不安になった。

 帰宅したサイラスが落ち着くと、ティキーはすぐに相談を持ちかけた。
「やっぱり何かおかしいよ、リゲル。こんな事は今までなかったし、歩いてるのを見てても何だかやる気がなくなっちゃったみたいで」
「最近何か嫌な事でもあったんじゃない? 人の中にいればちょっとしたトラブルくらいはよくある事だし…」
「ううん。彼はその位でこんなふうになったりしないよ。何か、よっぽど大きな事があったんだ」
「大きな事って?」
「分かんないけど。…でも、オレ、何かすごく気になるんだ。何か、急がなきゃいけないみたいな。リゲルが早く、って、呼んでるみたいな」
「それはないと思うけど… でも、そんなに不安だったら、予定を少し早くしてみたら?」
「明日とか? でも、朝の出がけにいきなりって言うのもキツイし、帰りだと…」
「そうじゃなくて。ほら、予定だと小学校の講座の帰りに再斉する事になってるだろう? それを、行きがけにしてみるとか」
「ああ、なるほどね。…そうか。確かに暗くなり始める頃よりもそっちの方がいいかも」
「まあ、あの辺りは夕方でもそんなに人は多くないけど、早い時間の方がもっと人通りも少ないしね」
「うん」
「本当にやる気がなくなって、来ないって事がなければ、なんだけど」
「……」
「あ、いや、でも、それならまたその後で考えればいいんだし、とにかく行きがけにしてみようよ。そうすれば、彼がまた行きかけて休んだり早退するような事も心配しなくていいだろう?」
「…そうだね」  ティキーは計画の変更をナナカに報告した。

 承諾のメールをもらったティキーは、大きく息をついてソファーにもたれた。ついうとうとと始めたティキーを、サイラスが起こす。
「ティキー、眠いなら早く部屋に帰りなよ」
「うん…そうなんだけど、何か、動きたくなくて…」
 サイラスが何となく覗くと、ティキーの頬は赤かった。
「あれ、ティキー、熱でもあるのかな」
「そんな事ないよ。きっと、ストーブに当たり過ぎたんだ」
 彼はティキーを立たせ部屋に連れて行くと、体温を測った。そう高い訳ではないが、微熱がある。
「やっぱり、無理してるんじゃないの?」
「そんな事ないよ。本当に、何ともないんだ。ちょっと温まり過ぎただけだよ」
「でも、だるいんでしょう?」  「うん…」
「まあ、今日はこれで休むとして、明日も具合が悪いようなら今回の計画は見送りだね」
「え? そんな…」
「仕方ないよ。だって、君の調子が悪ければリゲルを捕まえたとしても再斉できないじゃないか」
「大丈夫だよ。オレ、元気だし、それに、ロルカナだって来てくれるんだ。オレ一人じゃないんだ。早くしないと、リゲルが…」
「ティキー」
「だって…」
「焦っても良い事はないよ。とにかく、今日はこれで休もう。明日の事は明日考えよう」
 ティキーはほどなくして寝付いた。彼はやはり無理しているのだとサイラスは思った。


# by kobane99gi | 2012-05-15 09:40 | Sai判長 1巻 | Trackback | Comments(0)
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世間の対岸。


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